横尾忠則現代美術館について
横尾忠則現代美術館は、兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館、村野藤吾設計)の西館をリニューアルし、2012年11月に開館しました。横尾忠則の作品に特化した美術館で、作品の保管・展示・調査・研究を行い、世界的に高い評価を受ける横尾芸術の魅力を発信しています。
美術館では横尾忠則独自の表現や視点を通じて、現代美術の魅力を伝える多彩な企画展が開催されています。また、2021年には横尾忠則コレクションギャラリーが新設され、横尾氏が個人でコレクションしていた作品や多彩な資料を鑑賞できるようになりました。オープンスタジオでは、ワークショップやコンサート、公開制作などの参加型のイベントも開催されており、さまざまな体験が楽しめます。
横尾忠則について
横尾忠則は世界的に活躍する現代美術家です。1936年に兵庫県西脇市で生まれました。1956年よりグラフィックデザイナー、イラストレーターとしてキャリアを開始。1960年から1970年代は、状況劇場や天井桟敷などのアングラ演劇のポスターを制作し、ポップでサイケデリックな作風は国内外から高い評価を得ました。1969年には、第6回パリ青年ビエンナーレ版画部門でグランプリを受賞。以降、ニューヨークでの個展開催や、パリ、サンパウロ、ヴェネティアなどのヴィエンナーレに出品するなど、国際的な活躍を見せていきます。
1980年代には、ピカソの作品を観ていた際に衝撃を受け、グラフィックデザイナーから画家の道に進むことを宣言します(「画家宣言」)。その後、滝、神話、精神世界、故郷のY字路(「暗夜光路」シリーズ)、著名人の肖像画など、多様な題材を描いていきます。横尾忠則の作品の重要なテーマの一つに「死」があります。この背景には、幼少期の戦争・空襲体験が大きく影響しており、その強い色彩や世界観に色濃く投影されています。
2000年にニューヨークADC殿堂入り、2011年の旭日小綬章受章、2023年に日本芸術院会員及び文化功労者に選出など、現在まで数々の功績を残しています。現在も国内外で大規模展覧会が度々開催されており、2023年には87歳にして102点の新作を発表するなど、第一線で創作を続けています。
横尾忠則現代美術館のアクセス・利用案内
住所 | 兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30(兵庫県立美術館 王子分館) |
電話番号 | 078-855-5607 |
最寄駅からのアクセス |
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開館時間 | 10:00~18:00(入場は17:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替期間、年末年始、メンテナンス休館(不定休) |
入館料 |
※団体割引は20名以上 ※コレクション展には企画展のチケットが必要です。 ※高校生以下は無料です ※障がいのある方(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の所持者)は各観覧料金(ただし70歳以上は一般料金)の75%割引。障がいのある方1名につき介護の方1名は無料。 |
設備 | 駐車場、車椅子・ベビーカーの貸出、エレベーター、トイレ(バリアフリー・オストメイト対応)、授乳室、AED、コインロッカー(100円返却式)、カフェ、レストラン、ミュージアムショップ |
留意事項 | 盲導犬等の身体障害者補助犬は入館可 |
公式Webサイト |
横尾忠則現代美術館の見どころ
コレクション
横尾忠則美術館には、横尾氏自ら寄贈・寄託した絵画、版画、ポスター、ブックデザインなど3000点以上の作品が所蔵されています。代表的な「Y字路」シリーズをはじめ、ここでしか観られない作品群が一堂に会しています。独自の視点で構成された展示は、ダイレクトに横尾芸術を体験できる贅沢な機会として人気を博しています。
建築
前身となる兵庫県立近代美術館は、1970年に県政100周年記念事業として建設され、日本を代表する建築家、村野藤吾が設計を担当しました。その後1982年に、現在横尾忠則現代美術館として使われている西館が開館しています。真っ白な外観の建築で、特徴的な柱で2階部分が持ち上げられたような構造をしています。阪神・淡路大震災後に改修、そして横尾忠則現代美術館オープンに向けて西館がリニューアルされましたが、村野藤吾が設計した建築部分は大部分が残されています。
代表的な過去の展示
横尾忠則現代美術館の展覧会は、作品ごとに鑑賞が完結するスタンダードな展示だけではなく、横尾忠則の頭の中をのぞくような、ユニークな視点の構成が特徴的です。例えば、2021年に開催された「横尾忠則の恐怖の館」は、鑑賞者の「怖いけど見たい」を誘発するために、会場内を暗くするなど、さまざまな演出が行われました。横尾忠則の視点も交えて楽しむことができる企画展は、毎回新鮮な発見を届けてくれます。
〈主な展示〉
「横尾忠則 肖像図鑑」(2013年)
「横尾忠則展 わたしのポップと戦争」(2016年)
「横尾忠則の恐怖の館」(2021年)
「横尾さんのパレット」(2022年)
「Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国」(2023年)
ミュージアムショップ
施設の1階にあるミュージアムショップでは、横尾忠則のカラフルで楽しいオリジナルグッズを購入することができます。ポーチやステーショナリー、アパレルまで幅広い商品がそろっているので、お土産にもおすすめです。
開館時間 | 10:00~18:00(入場は17:30まで) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替期間、年末年始、メンテナンス休館 |
電話番号 | 078-855-5607 |
カフェ・レストラン情報
美術館には「野菜とカレーと喫茶の店 ぱんだかふぇ」があります。全面ガラス張りの開放的な空間で、天気の良い日にはテラス席も利用できます。サンドイッチ、カレー、パスタなど、野菜たっぷりのメニューが揃っています。
食事の際は食器にも注目。食器は横尾忠則がデザインしており、気に入った食器があればミュージアムショップで購入もできます。
ぱんだかふぇ
電話番号 | 078-855-7808 |
営業時間 | 11:30〜17:00 ※営業時間変更の場合があります。詳しくは直接お問い合わせください。 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始、メンテナンス時(不定期)※休館日に同じ、不定休あり |
横尾忠則現代美術館周辺のおすすめスポット
兵庫県立美術館
兵庫県立美術館は、西日本最大規模の美術館です。阪神・淡路大震災を経験した神戸に、「文化の復興」のシンボルとして2002年に誕生しました。近代彫刻、近代版画、郷土ゆかりの美術、現代美術を中心に、10,000点を超える作品を所蔵しています。
安藤忠雄設計の壮大な建築も見どころです。海の風やあたたかな光が降り注ぐことで生まれるコントラストは、美術館そのものを芸術品のように感じさせます。
海が目の前の抜群の立地にあり、カフェやレストラン、ミュージアムショップも併設されているので、美術鑑賞の合間にはゆったりと休息をとることもできます。
ヤノベケンジ《Sun Sister 》愛称:"なぎさ"
ヤノベケンジ《Sun Sister》 2015年
《Sun Sister》は巨大彫刻作品で知られる現代美術家、ヤノベケンジの代表作です。2015年、阪神・淡路大震災から復興20年のモニュメントとして制作されました。《Sun Sister》は希望のシンボルとして、太陽を手にする少女像で、行き交う人々や神戸の街を見守る存在です。6.3mとヤノベ氏の作品らしく大型で存在感があります。地元の子どもたちを含む一般応募により"なぎさ"ちゃんと命名されました。かわいらしいビジュアルも人気で、インパクトのある作品ですが、制作の背景を知ると鑑賞の視点が変わるかもしれません。
兵庫県立美術館の大階段の前、海を望む美しいロケーションに設置されており、撮影スポットとしても人気です。兵庫県立美術館を訪れる際は、ぜひ「Sun Sister」も併せて鑑賞してみてください。
BBプラザ美術館
商業施設「BBプラザ」の2階に2009年に開館した「BBプラザ美術館」。「暮らしの中にアートを」をコンセプトに、多くの人々が作品一つひとつに親しみを感じてもらえるような開かれた美術館を目指しています。