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ヤノベケンジ《Sun Sister(サン・シスター)》神戸の未来を見つめる“なぎさ”ちゃんに会いに行こう


ヤノベケンジ《Sun Sister》 2015年

神戸市の海辺に立つ、ヤノベケンジの彫刻作品《Sun Sister》。キラキラと輝くかわいらしいビジュアルながら、意志の強さを感じさせる魅力的な作品です。

この記事では、《Sun Sister》の魅力と作者のヤノベケンジについて、また、《Sun Sister》周辺のおすすめスポットをご紹介します。美術館やパブリックアートなど、神戸にはアートスポットが多数あるので、ぜひ訪れてみてください。




ヤノベケンジのパブリックアート《Sun Sister(サン・シスター)》とは?

太陽の名がつく少女像《Sun Sister》に、ヤノベケンジはどのような思いを込めたのでしょうか。《Sun Sister》の制作背景や特徴とあわせて解説します。


《Sun Sister》は、阪神・淡路大震災から20年のモニュメントとして、2015年に制作されました。HAT神戸内にある兵庫県立美術館と海辺の間に位置し、美しいロケーションで凛と立つ少女像は、撮影スポットとしても人気があります。


阪神・淡路大震災以後、困難や葛藤を抱えながらも日々を乗り越えてきた被災地の人々への思いと、2011年に発生した東日本大震災から復興を目指す人々への思いを重ねたことが、ヤノベ氏の《Sun Sister》構想のきっかけでした。《Sun Sister》は、東日本大震災の復興のシンボルとして2011年に制作された《Sun Child(サン・チャイルド)》の姉のような存在でもあります。なお、《Sun child》は現在、ヤノベ氏の故郷である大阪府茨木市に設置されています。


撮影:藤木潤一 写真提供:KENJI YANOBE Archive Project


《Sun Sister》は過去、現在を見つめ、希望ある未来を見守り続ける存在となるよう願いが込められています。ヤノベ氏は、作品の核として生命・エネルギーの源とされる太陽を取り入れました。少女の手のひらの上では太陽のオブジェが輝きます。また、高さ6.3mの大型彫刻に使用されているステンレススティールは、空と海からの光を反射し、太陽光を再現しています。


《Sun Sister》は、地元の子どもたちを含む一般応募により“なぎさ”ちゃんと命名されました。周辺地域に「なぎさ」を含む名称が多いことや、ひらがなで覚えやすい点から決まったそうです。“なぎさ”ちゃんは、これからも希望のシンボルとして、神戸の過去、現在、そして明るい未来を見つめ続けます。




ヤノベケンジ《Sun Sister》のアクセス

住所

兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1-1(兵庫県立美術館南側)

最寄駅からのアクセス

  • 阪神「岩屋」駅 兵庫県立美術館前から南へ徒歩約8分

  • JR神戸線「灘」駅 南口から南へ徒歩約10分

  • 阪急神戸線「王子公園」駅 西口から南西へ徒歩約20分

留意事項

兵庫県立美術館の大階段前に屋外展示


兵庫県立美術館




ヤノベケンジについて

ヤノベケンジ 写真提供:KENJI YANOBE Archive Project

ヤノベケンジは、独特な形態の巨大彫刻で知られている大阪出身のアーティストです。その作風にたどり着いた背景を代表作とともに解説します。


世界で活躍する現代美術家、ヤノベケンジ。彼は1965年に大阪市茨木市で生まれました。京都市立芸術大学美術学部彫刻科を専攻し、同大学の大学院を修了。ロンドンでの短期留学を経て、3年間ベルリンに滞在。2008年からは大阪府高槻市を創作拠点にしています。


1990年代初頭より「 現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに実機能のある大型機械彫刻を制作し始めました。2005年制作の大型機械彫刻《ジャイアント・トらやん》をはじめ、おもちゃやロボット、SFの世界を想起させるようなユーモラスな形態でありつつも、社会的メッセージが強く込められた作品は、海外で好評を博しました。





ヤノベが独自の作風にたどり着くきっかけは、幼少期の遊び場だった、1970年開催の大阪万博会場跡地にあります。祭典を彩ったパビリオンやモニュメントが無残に捨てられていく光景に、空想と現実があいまいになる体験をしたことが原点だといいます。「未来の廃墟」というイメージが生まれたのはこの時です。

1990年代後半には、ヒト型放射線感知スーツ《アトムスーツ・プロジェクト》を開始。このプロジェクトには、チェルノブイリや阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件などの悲劇的な出来事が深く影響しており、現在までの彼の作風にも影響しています。

ヤノベ氏は大阪万博跡地の記憶や、アニメ、漫画、サブカルチャーの要素、さらに社会状況に鋭く着眼することで唯一無二の作風を確立させ、現在も第一線で活躍し続けています。





「Sun Sister(サン・シスター)」周辺のおすすめスポット

「Sun Sister」が設置されている神戸には、アートを堪能できる施設が数多くあります。今回は「ミュージアムロード」と呼ばれる南北1.2kmのエリアにあるおすすめの美術館を3カ所ご紹介します。



兵庫県立美術館

安藤忠雄の建築模型やドローイングを無料で鑑賞できるAndo Gallery(兵庫県立美術館内)

兵庫県立美術館は、西日本最大規模の美術館です。阪神・淡路大震災を経験した神戸に、「文化の復興」のシンボルとして2002年に誕生しました。近代彫刻、近代版画、郷土ゆかりの美術、現代美術を中心に、10,000点を超える作品を所蔵しています。


安藤忠雄設計の壮大な建築も見どころです。海の風やあたたかな光が降り注ぐことで生まれるコントラストは、美術館そのものを芸術品のように感じさせます。


海が目の前の抜群の立地にあり、カフェやレストラン、ミュージアムショップも併設されているので、美術鑑賞の合間にはゆったりと休息をとることもできます。




横尾忠則現代美術館

兵庫県西脇市出身の現代美術家、横尾忠則に特化した美術館です。旧兵庫県立近代美術館の西館をリニューアルし、2012年にオープンしました。

美術館のコレクションは横尾忠則からの寄贈・寄託作品です。世界的に評価の高い横尾忠則の芸術を伝えるため、貴重なコレクションを軸にユニークな企画展が開催されています。また、コレクションギャラリーでは、横尾忠則の作品に加え、彼のコレクションしていた国内外のアーティストたちの作品も鑑賞できるようになりました。

オリジナルグッズを取り揃えたミュージアムショップやカフェも併設されており、思う存分横尾ワールドを堪能できます。


《Red Wonderland》1973年 横尾忠則現代美術館蔵




BBプラザ美術館

商業施設「BBプラザ」の2階に2009年に開館した「BBプラザ美術館」。「暮らしの中にアートを」をコンセプトに、多くの人々が作品一つひとつに親しみを感じてもらえるような開かれた美術館を目指しています。





ちょっと足を伸ばして。関西圏で体験するヤノベケンジの世界

ヤノベケンジ《SHIP'S CAT(Muse)》  ©Kenji Yanobe 写真提供:KENJI YANOBE Archive Project

関西圏では、《Sun Sister》のほかにもヤノベケンジの作品が鑑賞できます。中でも、近年の代表作《SHIP'S CAT》は国内外で高く評価されている作品で、大阪や京都に設置されています。神戸を訪れる機会に足を延ばしてみませんか?

下記の記事ではヤノベケンジの《SHIP'S CAT》や関西圏で鑑賞できる作品について詳しく解説していますので、ぜひチェックしてください。


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観ればエネルギーが沸いてくる。

希望のシンボル《Sun Sister(サン・シスター)》

未曽有の災害を乗り越えてきた神戸の街。《Sun Sister》は希望のシンボルとして、神戸を行き交う人々に温かな光を与えてきました。太陽のようにキラキラと輝く《Sun Sister》を目にすれば、きっと元気が湧いてくるはずです。周辺には美術館などの文化的施設がたくさんあります。神戸でアート尽くしの散策をぜひ楽しんでください。


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