和歌山県立近代美術館について
和歌山県立近代美術館は、和歌山城の白亜の天守閣を間近に望む、和歌山市吹上地区に位置します。1963年に和歌山城内に開館した和歌山県立美術館を前身とし、1970年に和歌山県民文化会館1階に開館。その後1994年に現在の場所に移転オープンしました。開館以来、和歌山にゆかりのある作家作品を積極的に収集し、近・現代のコレクションを充実させてきました。特に近代・現代版画は、国内屈指のコレクションを誇っています。
美術文化に触れる機会の提供はもちろん、地域や学校と連携しながら学校教育や生涯学習を支援し、文化芸術を担う人材育成の推進にも力を入れています。子どもから大人まで美術を楽しめる展覧会、イベント、ワークショップ、実習など、幅広い世代が親しめるさまざまな企画が開催されています。
和歌山県立近代美術館のアクセス・利用案内
住所 | 和歌山県和歌山市吹上1丁目4-14 |
電話番号 | 073-436-8690 |
最寄駅からのアクセス | JR「和歌山」駅または南海電鉄「和歌山市」駅よりバス乗車10分。和歌山バス和歌浦口方面行き「県庁前」下車、徒歩2分。 |
開館時間 | 9:30~17:00(入場は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日) |
観覧料 | ・常設展 一般350円(270円)、大学生240円(180円)※()内は20名以上の団体料金 ・企画展 一般520円(410円)、大学生300円(260円)※()内は20名以上の団体料金 ・特別展 ※展示内容によって異なります ※特別展、企画展の観覧券で常設展もご覧いただけます ※高校生以下、65歳以上、障がいをお持ちの方、県内に在学中の外国人留学生(外国人就学生を含む)は常設展、企画展とも無料です。 ※無料の方もチケットが必要です。証明できるもの(学生証などの各種証明書)をインフォメーションでご提示ください。 ※そのほか一定条件の上、減免・割引・補助があります。 |
設備 | 車椅子・ベビーカー貸し出し、授乳室、多目的トイレ、障がい者専用駐車場、補助犬の入館可 |
留意事項 | 駐車場あり |
公式Webサイト |
和歌山県立近代美術館の見どころ
コレクション
和歌山県立近代美術館は、1963年に前身の和歌山県立美術館の収蔵作品83点を引き継いだことに始まり、以降、約半世紀にわたる活動を通じて約13,000点のコレクションを収蔵しています(2024年現在)。
1970年の開館以来、洋画家の川口軌外(かわぐちきがい)や日本画家の野長瀬晩花(のながせばんか)、版画家の浜口陽三(はまぐちようぞう)や田中恭吉(たなかきょうきち)など、和歌山にゆかりを持つ芸術家の郷土コレクションを充実させてきました。1980年頃からは、近・現代版画の収集と紹介に尽力し、国内に限らず、パブロ・ピカソやオディロン・ルドンなど海外の重要作家の作品も有しています。
また、走泥社(そうでいしゃ)や具体美術協会など、戦後の関西で盛んだった前衛美術運動に着目した作品収集も強化し、現代美術コレクションの形成にも取り組んできました。
建築
和歌山県立近代美術館の設計は、国内外で活躍した建築家・黒川紀章(くろかわきしょう)が設計しました。黒川氏は、国立新美術館(東京都港区)、大阪では国立民族学博物館(みんぱく)(大阪府吹田市)や大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)(大阪府大阪市)、広島市現代美術館(広島県広島市)などの建築で広く知られています。
黒川氏の建築の特徴は、菊竹清訓(きくたけきよのり)らとともに提唱した「メタボリズム」という建築理念です。集合体や連続性を感じさせる建築は部分と全体の「共生」を表しています。和歌山県立近代美術館においても、和歌山城という歴史的存在と対をなすイメージを土台にした基本コンセプトが採用されました。
美術館は、人々を出迎える建物正面の巨大な行灯や刀をイメージした建物北側の大きな屋根が目を引くデザイン。東側の特徴である三段庇は、和歌山城の天守閣の屋根とネガポジの関係で組み合わさるように構成されています。広々とした敷地には池や滝、熊野古道をイメージしたという散策路が配され、美術館を訪れる人々がゆったりとくつろぎ、楽しんでもらえるような場となっています。
また、隣接する和歌山県立博物館の建築も黒川紀章による設計です。両施設は取り巻く周辺環境とともに設計され、和歌山城をシンボルとする歴史深い和歌山市との美しい共生を実現しています。美術作品の鑑賞とあわせて、建築にも注目したいスポットです。
なお、現在は黒川の代表作のひとつである中銀カプセルタワーの解体にともない搬出されたカプセルのひとつA908が美術館入口前に展示されています(2024年現在)。
代表的な過去の展示
和歌山県立近代美術館では、和歌山にゆかりのある芸術家作品や版画コレクションを主軸に、多彩なジャンルの作品を特集し展示しています。さらに毎年夏休みの時季には、子どもが大人と一緒に美術に親しめる「なつやすみの美術館」を継続して開催するなど、教育普及にも力を入れています。
〈主な展覧会〉
「ニューヨーク・アートシーン」(2019年)
「もうひとつの日本美術史—近現代版画の名作2020」(2020年)
「和歌山の近現代美術の精華」(2021年)
「稗田一穗展」(2022年)
「なつやすみの美術館13 feat. 橋本知成」(2023年)
「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」(2023年)
ミュージアムショップ
ミュージアムショップは、美術館のエントランスホールにあります。展覧会ごとに関連する書籍やグッズを特集。野長瀬晩花の作品をモチーフとした手鏡や田中恭吉の絵柄が美しいステーショナリー、そして橋本和明のシルバーアクセサリーなど、ミュージアムオリジナルグッズも魅力的です。和歌山県立近代美術館の過去の刊行物も取り扱っています。
営業時間:美術館営業時間に準ずる
定休日:美術館定休日に準ずる
カフェ・レストラン情報
和歌山県立近代美術館2階には、ブックカフェ「BRING BOOK STORE」があります。ナチュラルで開放的な店内にはデザインやアートの書籍が充実しており、エスプレッソやケーキ、カレーなどのカフェメニューとともに、ゆったりとした時間を過ごせます。季節のパスタや、クッキー、シナモンロールなど、限定メニューも豊富です。美術館との関連イベントも不定期で開催されているので、訪れた際はぜひチェックしてみてください。
営業時間:11:00〜17:00(ラストオーダー16:30) ※変更の場合あり
定休日:美術館定休日に準ずる
和歌山県立近代美術館周辺のおすすめスポット
和歌山県立博物館
和歌山県立博物館は、和歌山県立美術館を前身に、1971年に公立博物館として和歌山城二の丸跡に設立されました。1994年に現在の場所に移転し、和歌山県立近代美術館とともに開館しました。
博物館では、和歌山県ゆかりの絵画、工芸、典籍、古文書など、多岐にわたる文化財・資料の収集、保管、調査、展示を行っています。高野・熊野信仰の関連資料や、紀伊徳川家にまつわる文化財など、和歌山の歴史に理解を深められる資料・文化財を豊富に有しています。また、近世文人画や紀州3大窯にかかわる陶磁器も博物館の主要なコレクションとなっています。
和歌山県における原始・古代から近現代までの3万年の歴史を紹介する常設展をはじめ、屋外展示やギャラリー展示などを通じて、“きのくに”の歩み、生活文化を多角的に伝えています。
住所 | 和歌山県和歌山市吹上1丁目4-14 |
電話番号 | 073-436-8670 |
最寄駅からのアクセス | JR「和歌山」駅または南海電鉄「和歌山市」駅よりバスに乗車10分。和歌山バス和歌浦口方面行き「県庁前」下車、徒歩2分。 |
開館時間 | 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日(ただし祝日の場合はその翌平日)、年末年始、臨時休館日(展示替え期間など) |
入館料 |
※()内は20人以上の団体料金 ※高校生以下、65歳以上、障がい者手帳の交付を受けている方は無料 ※減免団体登録証の交付を受けた団体は無料 ※和歌山県内に在学中の外国人留学生は無料 ※そのほか一定条件の上、減免・割引・補助があります。 |
設備 | 車椅子・ベビーカー貸し出し、授乳室、多目的トイレ、障がい者専用駐車場、補助犬の入館可 |
留意事項 | 駐車場あり |
公式Webサイト |
和歌山城
和歌山県立近代美術館より北へ向かうと、和歌山市のシンボル・和歌山城を望めます。和歌山城は、1585年に紀州を平定した羽柴秀吉が弟の秀長に築城させたことに始まり、1619年に徳川頼宣が入城して以来、水戸や尾張と並ぶ徳川御三家の一つとして長い歴史を刻みました。
和歌山城は、虎伏山にそびえる白亜三層の大天守を有し、市街地を四方に眺めることができます。また、重要文化財に指定された岡口門や北側の土塀に加え、西の丸と二の丸をつなぐ御橋廊下、名勝 西之丸庭園(紅葉渓庭園)などの歴史的な鑑賞スポット、大正時代に開園した和歌山城公園動物園、1974年に和歌山県出身の実業家・松下幸之助の寄付により落成した茶室「紅松庵」など、城内には見どころがたくさんあります。また、桜の名所として知られ、春には約450本の桜が咲き誇り、多くの来園客でにぎわいます。
住所 | 和歌山県和歌山市一番丁3番地 |
電話番号 | 073-435-1044(和歌山城整備企画課) 073-422-8979(和歌山城天守閣) |
最寄駅からのアクセス |
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開館時間 | 9:00~17:30(入場は17:00まで) ※和歌山城天守閣の利用時間です。施設ごとに利用時間が異なりますので、詳細は公式Webサイトにてご確認ください。 |
休館日 | 12月29日~12月31日 |
天守閣入館料 | 大人410円、小人200円(小・中学生) ※30名以上で人数に応じ、団体割引が適用されます。 ※毎週土曜日は小人料金が無料。 ※そのほか条件付きの割引あり |
設備 | 駐車場はありますが、混雑の際は市営中央駐車場・北駐車場(和歌山市役所隣)など、最寄りの駐車場をご利用ください。 |
公式Webサイト |
和歌山県庁
和歌山県立近代美術館から徒歩圏内にある「和歌山県庁」は、昭和期の名建築としても知られます。現役で利用されている建築物からは、美術鑑賞とは異なる趣に触れられそうです。少し足を延ばして探訪してみませんか。
和歌山県庁の中でも特に歴史が深いのは、1938年に完成した本館です。外観や知事室など、竣工当時の姿を色濃く残す建築は、歴史的価値が評価され、2013年に国の登録有形文化財に登録されました。
本館は、関東大震災を教訓に、機能的で耐震性の高い建築が目指されました。シンプルなデザインを基調とし、テラコッタのレリーフにおいても、装飾的意味合いのほかに素材の耐久性の高さが考慮されています。
和歌山県に在住の方、通学・通勤をされている方は、事前申し込み制で内部見学も可能です。詳しくは和歌山県広報課にお問い合わせください。
住所 | 和歌山県和歌山市小松原通1丁目1番地 |
電話番号 | (代表番号)073-432-4111 (広報課)073-441-2034 |
最寄駅からのアクセス | 【JR「和歌山」駅より】
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設備 | エレベーター、点字ブロック、障がい者専用駐車場、スロープ、車椅子対応トイレ、乳幼児椅子付きトイレ、オストメイト対応トイレ、オムツ交換台、車椅子貸し出し、AED設置、補助犬可、階段に段差なし |
留意事項 | 公的機関のため年末年始を除く平日のみ開庁(9:00~17:45、見学は17:00まで) |
公式Webサイト |