京都国立近代美術館は、京都市左京区にある緑豊かな岡崎公園内にあります。周辺には、平安神宮や京都市京セラ美術館、ロームシアター京都 (京都会館)などがあり、歴史と文化の香りを感じられるエリアに位置しています。
美術館の構想は、川崎造船所(現川崎重工業株式会社)の初代社長であった松方幸次郎が海外へ流出した美術品をヨーロッパで集め、日本への返還を働きかけたことをきっかけに生まれました。美術品の保管先として、京都市が国立近代美術館の設立を誘致し、1963年に東京国立近代美術館の分館として開館。1967年には京都国立近代美術館として独立し、1986年に建築家の槇文彦の設計で現在の美術館が完成しました。
京都国立近代美術館は、近代の多彩な芸術ジャンルを研究・公開することで、現代における豊かな芸術のあり方に寄与すること、そして国際交流を通じて広い視野を提供することを指針としています。学習支援と普及活動にも力を入れているので、ワークショップや講演会、ギャラリーツアーなど、定期的なイベントも行われています。
京都国立近代美術館のアクセス・利用案内
住所 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1 |
電話番号 | 075-761-4111 |
最寄駅からのアクセス |
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開館時間 | 通常時間 10:00~18:00(入館は17:30まで) ※企画展開催中の毎週金曜日のみ 10:00~20:00(入館は19:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)、展示替期間、年末年始 |
観覧料 | 一般430円、大学生130円、高校生以下18歳未満と65歳以上は無料 ※企画展は展覧会によって異なります ※障がい者手帳をお持ちの方ご本人と付き添いの方(1名)は無料です。 ※母子家庭または父子家庭の世帯員の方は無料です。 ※そのほかの減免あり。 ※減免を受ける際は、証明するものを要提示です。 |
設備 | 障がい者専用駐車場、バリアフリー対応、車椅子貸し出し(自走式6台、介助式4台)、電動昇降式車椅子、多目的トイレ、ベビーカー貸し出し、授乳室、オムツ交換台、ロッカー(100円返却式)、ミュージアムショップ、カフェ |
留意事項 | 補助犬等の同伴可。多言語パンフレット、展示作品の英語併記あり。 |
公式Webサイト |
京都国立近代美術館の見どころ
コレクション
京都国立近代美術館は、13,000点を超えるコレクションを所蔵し、絵画、彫刻、工芸品、写真、現代美術など多種多様なジャンルを網羅しています。中でも、京都を中心に西日本の作家の作品を多数所蔵しています。代表的な作品の一つに、京都出身の竹内栖鳳の日本画《春雪》や北大路魯山人の陶芸《色絵金彩椿文鉢》などが挙げられます。特に工芸に重点を置いており、陶芸、漆芸、金工、染織など多彩な作品を観ることができます。
国外の作品は、日本との影響関係のある作品を中心に収集しています。従来の芸術の既成概念を否定し、パラダイムシフトの一つとなったダダイスムなど、日本の芸術家に大きな影響を及ぼした作品に注目してきました。
建築
京都国立近代美術館は、建築家の槇文彦によって設計されました。槇氏は、建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞や国際建築家連合ゴールドメダルを受賞するなど、世界的に高く評価される建築家です。モダニズム建築を体現した人物で、東京にある「スパイラル」や「東京体育館」、ニューヨークの「4ワールド・トレード・センター」の設計で知られています。
美術館のある岡崎公園は、かつて風致地区に指定されており、景観を守るために平安神宮の大鳥居より低い設計にする必要があるなど、さまざまな制約がありました。高さを抑えつつ、開放的な空間を実現するために、内部には高い天井のエントランスやロビー、太陽光を入れるトップライト、ガラスの壁面などを採用しています。
建築の要として、画家ピエト・モンドリアンが提唱した「デ・ステイル様式」が意図されています。「デ・ステイル様式」は垂直と水平、原色と無彩色を用いた幾何学的なデザインが特徴で、外観のポルトガル産の花崗岩や内部の白い大理石、階段室には朱色やグレーの柱など、随所にその特徴が現れています。また、透明なガラスと乳白色のガラス2種による美しい光の演出も見どころです。
代表的な過去の展示
京都国立近代美術館では、年間を通し企画展やコレクション展、研究員の成果を発表する「キュレトリアル・スタディズ」など多様な展示をしています。
3階の展示スペースでは、作家の回顧展や、芸術の動向を追う展示など、近・現代美術を中心にさまざまな企画展を年に約4~5回開催しています。4階のコレクション・ギャラリーでは、京都を中心とした西日本の美術・工芸品を中心に年間約5回のコレクション展を開催。訪れるごとに新たな作品と出会えるように工夫されています。
〈主な展示〉
「ユネスコ無形文化遺産登録記念 北大路魯山人の美 和食の天才」(2015年)
「円山応挙から近代京都画壇へ」(2019年)
「チェコ・デザイン 100年の旅」(2020年)
「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション」(2022年)
「開館60周年記念 甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性」(2023年)
ミュージアムショップ
京都国立近代美術館には「アールプリュ」というミュージアムショップが併設されています。展覧会に関連した図録や美術館オリジナルグッズはもちろん、ガラス工芸品、海外のミュージアムグッズなどの多種多様な商品を取り扱っています。中でも注目なのは、関西圏にゆかりのある作家の名作をモチーフにしたアイテムです。しおりやお香、マスキングテープなど、独自のデザインが目を楽しませてくれます。お気に入りを見つけに、お店に立ち寄ってみてください。
営業時間 |
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定休日 | 毎週月曜日(休日の場合はその翌日)※美術館の開館に準じて営業 |
公式Webサイト | |
オンラインショップ |
カフェ・レストラン情報
京都国立近代美術館に併設されている「cafe de 505」は、パスタを使ったメニューが人気のカフェ・レストランです。店内自家製の生パスタはモチモチの弾力が特徴で、カルボナーラやトマトクリームなどのメニューがあります。京都らしい湯葉を使ったカレーや手作りスイーツ、サンドイッチもおすすめです。
美術館の企画展開催中は、作品や作家にちなんだメニューやデザートが登場します。企画展鑑賞の際は新しいメニューもチェックしてみてください。
営業時間 |
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定休日 | 毎週月曜日(休日の場合はその翌日)※美術館の開館に準じて営業 |
公式Webサイト |
京都国立近代美術館周辺のおすすめスポット
京都市京セラ美術館
京都国立近代美術館と同様、岡崎公園内にある美術館です。現存する公共美術館としては日本最古の建築であり、大規模改修を経た2020年のリニューアルオープンを機に、大きな注目を浴びているスポットです。
京都市京セラ美術館では、京都にゆかりのある芸術作品の展示のほか、現代美術作品や新進作家の作品を展示しています。特徴的なファザード「ガラス・リボン」から中に入ると、ミュージアムショップやカフェがあり、来館者から人気を集めているパブリックスポットとなっています。展示はもちろん、開放的な建築は一見の価値があるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
京都伝統産業ミュージアム
京都伝統産業ミュージアムは、千年の歴史に育まれた京都の伝統産業を間近に見学・体験できる施設です。西陣織や京友禅などの染織品、そして京焼・清水焼、京漆器など、長い歴史を背景に受け継がれてきた伝統産業74品目を一堂に展示。タッチパネルやタブレットを用いて、解説や制作工程を学ぶこともできます。また、匠の技を肌で感じられる製作体験コーナーや職人による実演も人気です。
併設のミュージアムショップでは、京漆器や京扇子、お香など、伝統工芸の技術から生まれた商品が販売されています。自分用はもちろん、京都のお土産にもおすすめです。
住所 | 京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 京都市勧業館みやこめっせ地下1階 |
電話番号 | 075-762-2670 |
最寄駅からのアクセス |
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開館時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
定休日 | 不定休(月2回程度、公式Webサイトにてご確認ください)、年末年始(12/29~1/3) |
入館料 | 一般(大学生を含む)500円(20名以上の団体は400円)、小中高生、高等専門学校生 400円(20名以上の団体は300円) ※未就学児は無料です。 ※障がい者手帳を提示の方本人および介添人1名まで無料です。 ※京都市内在住70歳以上の方は無料です。(入館時に証明できるものを提示) ※京都市内在住の小中学生・高校生は無料です。(入館時に証明できるものを提示) ※和装の方は無料です。 |
設備 | 車椅子対応トイレ、点字ブロック、ミュージアムショップ |
留意事項 | 補助犬との同伴可。多言語対応あり。 |
公式Webサイト |
細見美術館
細見美術館は京都市左京区岡崎にある私設美術館です。実業家・日本美術コレクターであった細見古香庵氏に始まる細見家3代のコレクションを基に、1998年に開館しました。神道美術や仏教美術、茶の湯の美術、琳派などの江戸絵画と、日本美術の分野・時代の大半を網羅した作品群が魅力です。