藤田美術館について
藤田美術館は、明治時代に関西実業界の中心人物であった藤田傳三郎(ふじた でんざぶろう)と、息子の平太郎、徳次郎によって築かれたコレクションを有する美術館です。藤田家が明治から大正時代にかけて集めた、東洋の古美術品を中心に、茶道にまつわる工芸品も多数所蔵されています。国宝や重要文化財などの逸品が並ぶ、大変充実したコレクションです。
明治維新における社会変化の影響により、日本の美術品の海外流出や廃棄を危惧した藤田傳三郎は、その散逸を防ぐために蒐集を精力的に行いました。戦後、藤田家は邸宅内にあった蔵を改装し、1954年に藤田美術館として開館しました。そのため、“蔵の美術館”としても知られています。建て替えを経て、2022年にリニューアルオープンしました。
この美術館には「これらの国の宝は一個人の私有物として秘蔵するべきではない。広く世に公開し、同好の友とよろこびを分かち、また、その道の研究者のための資料として活用してほしい。」という藤田家の願いが込められています。その意思は現在まで受け継がれ、多彩なコレクション展を開催するなど、多くの来館者を迎え入れてきました。
リニューアル後の美術館は、その建築も注目されています。全面ガラス張りのエントランスの「土間」は開放的な空間が広がり、茶屋も併設されています。敷地内の庭園では、17世紀後半頃に建てられた多宝塔(旧高野山光臺院多宝塔)も観ることができます。また、藤田邸跡公園と隣接しており、美術鑑賞の後には緑豊かな空間でくつろぐことができます。
藤田美術館のアクセス・利用案内
住所 | 大阪府大阪市都島区網島町10-32 |
電話番号 | 06-6351-0582 |
最寄駅からのアクセス |
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開館時間 | 10:00~18:00(予約不要) |
休館日 | 12/29~1/5 |
入館料 | 1,000 円、19歳以下無料(要証明) |
設備 | コインロッカー(100円返却式)、無料音声ガイド、バリアフリートイレ、授乳室、カフェ |
留意事項 | 専用駐車場がないため、近隣の駐車場をご利用ください。多言語案内あり。 |
公式Webサイト |
藤田美術館の見どころ
コレクション
藤田傳三郎は、能や茶道にも造詣が深く、特に茶道具に対する鑑識眼は卓越していました。藤田美術館では、絵画、書、仏教美術、古代の青銅器、漆器、染織、茶道具など、約2,000件の美術品を所蔵。その中には、「国宝 紫式部日記絵詞」や「重文 木造地蔵菩薩立像」など、9件の国宝と53件の重要文化財が含まれています。
中でも「国宝 曜変天目茶碗」は必見です。“曜変天目と認められた完品”は世界に3碗のみ現存しており、そのうちの貴重な1碗を藤田美術館で観ることができます。
※常設展示はしておりません。
建築
老朽化が進んだ美術館のリニューアルは、大成建設が設計・施工を担当しました。100年以上にわたり美術品を守ってきた旧建物の部材を随所に再利用し、歴史ある蔵の面影を感じさせつつ、白い大庇とガラスの壁面が特徴的なモダン建築へと生まれまわりました。
リニューアルにあたって目指したのは、「みる・きく・はなす美術館」。白い土壁や敷石、ガラスウォールが特徴的な「土間」は来館者の憩いの場となっています。美術館を囲む塀をなくしたことで景色も楽しめる空間となり、周辺エリアとのつながりも生まれています。
代表的な過去の展示
展示室は可動壁によって区切られ、4つのエリアのうち3つのエリアを常に公開。1カ月ごとに1テーマずつ変更する仕組みにより、いつ訪れても多くの美術品を鑑賞できます。
貴重なコレクションを間近に鑑賞できる上、スマートフォンでの撮影(フラッシュなし)も許可されています。
〈主な展示〉
「禅」(2023年4~6月)国宝 曜変天目茶碗、十六羅漢図 ほか
「顔」(2023年8~10月)重文 雪舟自画像(摸本)、重文 乾漆伎楽面酔胡従 ほか
「妖」(2023年11月~2024年1月)大江山酒呑童子絵巻、重文 小太刀銘國行 ほか
ミュージアムショップ
※現在、藤田美術館にミュージアムショップはありません。
カフェ・レストラン情報
藤田美術館には「あみじま茶屋」が併設されています。エントランスの土間エリアにあり、自然光が差し込む明るく開放的な空間で、お団子と本格的な日本茶が頂けます。お茶は煎茶・番茶・抹茶から1種類を選べ、お団子は餡子と醤油味が焼きたてで提供されます。
また、使用されている茶碗やお盆は現代作家の作品が使われています。細部までこだわり抜かれた空間で贅沢な時間を味わえます。
営業時間 | 10:00~ お団子が売切れ次第終了 |
定休日 | 12/29~1/5 |
公式Webサイト | https://amijima-chaya.net/ |
藤田美術館周辺のおすすめスポット
旧藤田邸庭園(藤田邸跡公園)
敷地面積は約16,000㎡に及ぶ緑豊かな都市公園「旧藤田邸庭園(藤田邸跡公園)。藤田美術館に隣接しており、美術館を創設した藤田傳三郎の大邸宅の跡地でもあります。
邸宅は1893年頃に創建され、同時期に完成したと見られる庭園には、当時の庭師である梅園梅叟(ばいえんばいそう)の造園の趣が残されています。勢いがあり荒々しい自然を表現するため、起伏に富んだ地形を人工的につくり出し、石組みと水の流れをダイナミックに構成しています。こうした特徴は、江戸時代以前には見られなかった斬新な造園表現でした。
2003年には大阪市の名勝に指定されました。ベンチが置かれ、地域の人々はもちろん、観光で訪れる人々が集う場となっています。
住所 | 大阪府大阪市都島区網島町10 |
電話番号 | 06-6912-0650(大阪市建設局鶴見緑地公園事務所) |
最寄駅からのアクセス |
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開園時間 | 10:00~16:00 |
入園料 | 無料 |
公式Webサイト |
山王美術館
ホテルモントレの創立者が50年にわたり収集したコレクションを公開・展示する「山王美術館」2009年に大阪市浪速区にある「ホテルモントレ グラスミア大阪」で開館し、2022年に現在の大阪市中央区に独立館として移転オープンしました。
ザ・ガーデンオリエンタル・大阪
大阪市都島区網島町に位置するレストラン・ブライダル施設「ザ・ガーデンオリエンタル・大阪」。かつて迎賓館として利用されていた大阪市会館の閉館を機に、用途変更が決まり、2014年にオープンしました。