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西成・釜ヶ崎でアートを巡る! 大阪関西国際芸術祭2025の見どころを徹底解説

  • 執筆者の写真: kumiko ishigaki
    kumiko ishigaki
  • 3 日前
  • 読了時間: 8分
NISHINARI YOSHIO(西尾美也+kioku手芸館「たんす」)
NISHINARI YOSHIO(西尾美也+kioku手芸館「たんす」)

4月11日より、「Study:大阪関西国際芸術祭2025」がスタートしました。


2022年に始まったこの芸術祭は、2025年の大阪・関西万博を契機に、「ソーシャルインパクト(社会への影響)」をテーマに掲げ、文化芸術の振興や経済活性化、社会課題の可視化を目指す大規模なアートフェスティバルです。


今年は、大阪・関西万博とほぼ同期間(2025年4月11日〜10月13日)の186日間にわたり開催され、大阪各地でさまざまなアートイベントが行われます。


本記事では、西成・釜ヶ崎エリアで開催される注目のプロジェクトをご紹介します!



西成・釜ヶ崎で見られる3つのアート


大阪市西成区の「釜ヶ崎」と呼ばれる一部のエリアは、かつては日雇い労働者の街として知られ、高度経済成長期には多くの労働者が集まりました。近年は高齢化や貧困、外国人居住者の増加、さらには不動産投資による地価上昇など、さまざまな社会的変化に向き合うエリアとなっています。


本芸術祭では、2022年の立ち上げ当初から、このエリアにおけるアートの実践に注目してきました。


釜ヶ崎芸術大学の展示風景
釜ヶ崎芸術大学の展示風景

この地で20年以上活動を続ける上田暇奈代氏が2012年に立ち上げた「釜ヶ崎芸術大学」、そして美術家の西尾美也氏が地域の高齢女性たちと立ち上げたファッションブランド「NISHINARI YOSHIO (西尾美也 + kioku手芸館「たんす」)」。今回で4回目の出展となるこの2組のアーティストによる取り組みは、この地域と深く結びつきながら、独自のアートの実践を展開しています。


さらに、築約100年の歴史を持ち、増改築を繰り返しながら昭和の面影を残す「山王ハモニカ長屋」を舞台に、プロダクション・ゾミアのキュレーションによる「喫茶あたりや」を新たに始動。現在も再生が進行するこの空間が、新たな創造と交流が生まれる場となることを目指します。


開催概要

釜ヶ崎芸術大学「あきらめへんで。釜ヶ崎アートセンター」

会期:2025年4月11日(金) 〜 10月13日(月) 開館時間:13:00 〜 19:00(最終入場は閉館30分前) 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜)※7月21日(月)・7月22日(火)は特別開館 チケット:チケットがなくても入れます 会場1:ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学(大阪府大阪市西成区太子2丁目3-3) 会場2:船場エクセルビル(大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11) ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学の公式サイトはこちら >

NISHINARI YOSHIO(西尾美也+kioku手芸館「たんす」)リサーチプロジェクト「後継者問題(仮)」

会期:2025年4月11日(金) 〜 10月13日(月)※4月11日(金)~5月6日(火)、7月12日(土)~8月17日(日)、9月20日(土)~10月13日(月)以外は、水土日曜日のみオープン 開館時間:10:00 〜 20:00(最終入場は閉館30分前) 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜)※7月21日(月)・7月22日(火)は特別開館 チケット:チケットがなくても入れます 会場:kioku手芸館「たんす」(大阪市西成区山王1丁目11-5 元・鈴木タンス店)


プロダクション・ゾミア「喫茶あたりや」

会期:2025年4月11日(金) 〜 10月13日(月)※4月11日(金)・4月12日(土)は開幕特別オープン(ご招待・前売り券購入者のみ入場可) 開館時間:13:00 〜 19:00(最終入場は閉館30分前) 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜)※7月21日(月)・7月22日(火)は特別開館 チケット:展覧会パスポートまたは開幕パスが必要 チケット情報はこちら > 会場:山王ハモニカ長屋 元うどん屋(大阪府大阪市西成区山王1丁目4-14)


アクセス いずれの会場へ行くにも、地下鉄御堂筋線 / 堺筋線「動物園前」駅(2番出口)から歩くのが便利です。

釜ヶ崎芸術大学の作品が展示されている船場エクセルビルは、大阪市営地下鉄 御堂筋線 「本町」駅 11番出口より徒歩4分、大阪市営地下鉄 堺筋線 「堺筋本町」駅 10番出口より徒歩8分です。


どんな作品が見られる?

●釜ヶ崎芸術大学


釜ヶ崎芸術大学の展示タイトルは「あきらめへんで。釜ヶ崎アートセンター」。これまでの活動の中で生まれた、釜ヶ崎の人々や大学の運営者、旅人たちの作品が並びます。展示は西成(ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学)と、船場(船場エクセルビル)の2会場で開催。

西成会場では、普段ゲストハウスとして使われている空間を特別公開。詩人・谷川俊太郎の作品が展示される「詩人の部屋〜谷川俊太郎が書き、あなたも書く部屋」、美術家・森村泰昌と元日雇い労働者である坂下範征によるコラボ作品「Our Sweet Home」など、個性的な展示が楽しめます。宿泊施設ならではの親密な雰囲気の中で、アートと街が交差する場になっています。


●NISHINARI YOSHIO(西尾美也+kioku手芸館「たんす」)


「NISHINARI YOSHIO」は、西成エリアの後継者問題に着目し、2022年から長期的なプロジェクトを進行中。

西成はかつて日雇い労働者でにぎわった街ですが、今では中国系・ベトナム系の飲食店が増え、新しい住民層が流入しています。ただ、旧住民と新住民の接点はまだ少ないのが現状です。

そこで、「ファッション」を通じて両者の新しい関係を築こうとするのがこのプロジェクト。服づくりのワークショップを重ねながら、最終的にはブランドの共同制作者として協働することを目指しています。文化や生活習慣の「ズレ」こそが新しい創造のきっかけになるという考えのもと、地域住民と外国人労働者との関係を探る試みはとてもユニーク!

今回は、これまでのリサーチと制作のプロセスを展示します。


●喫茶あたりや


芸術祭期間限定でオープンする喫茶店兼ギャラリー「喫茶あたりや」。手がけるのは、アジアのアーティストやキュレーターたちのネットワーク「プロダクション・ゾミア」です。東南アジアの山岳地帯「ゾミア」の歴史をヒントに、さまざまな場所で展示やプロジェクトを展開しています。

ここは、アーティスト・イン・レジデンスの場でもあり、芸術祭期間中はアジアから3名のアーティストが滞在し、新作を制作。その間、1階は来場者や地域住民が自由に憩えるスペースにもなり、アーティストや鑑賞者、街の住民が自由に集い、お茶を飲みながら会話できる場になっています。

「喫茶あたりや」は、ただの展示スペースではなく、「失われつつあるものを見つめ、まだ来ない未来について夢想する場所」。作品を楽しみながら、この街の今とこれからを考えるきっかけになるかもしれません。

▼アーティスト・イン・レジデンス

Saul Chan Htoo Sang(ソウチャン・トゥーサン)【4月~5月下旬滞在】 Wu Chi-Yu/吳其育(ウー・チーユー)【7月中旬~8月中旬滞在】 Linh San(リン・サン)【8月中旬~10月滞在】



2つのアートツアーに参加してみては?


「釜ヶ崎芸術大学」に関する2つのアートツアーは、このエリアの文化を深く知ることができるチャンスです。


●西成アートツアー


上田假奈代氏が案内人を務め、西成にあるアート拠点やアート的な場所を紹介する、西成路地裏まちあるきツアー。

西成や西成のアートに関心を持つ方におすすめです!

開催日:

2025年4月12日(土)、4月26日(土)、5月3日(土)、5月24日(土)、6月14日(土)、7月19日(土)、7月26日(土)、8月9日(土)、8月23日(土)、9月13日(土)、9月27日(土)、10月4日(土)、10月11日(土)


時間:各日程14:00~16:00頃まで(13:50頃集合してください)


集合場所:釜ヶ崎芸術大学(ココルーム)


参加料金:2,000円(当日集合場所で現金でお支払いください)

 ツアー後のお茶、お菓子付

*各回の参加予約が5名未満の場合、開催を中止する場合があります。予めご了承ください。

*夏場の暑い時などご参加時の気候によって、各自でお飲み物やひよけ傘、帽子等をご持参ください。


●ココルームツアー


展示会場であるゲストハウス(ココルーム)の建物の中を案内するツアーです。


お庭、井戸から、宿泊者しか入れないゲストスペース、屋上まで、解説を聞きながらめぐります。一部日程では、「詩人の部屋〜谷川俊太郎が書き、あなたも書く部屋」や、森村泰昌(美術家)+坂下範征(元日雇い労働者、釜ヶ崎芸術大学在校生)による「Our Sweet Home」の中にも入っていただけます。

ココルームの建物の中を案内するツアーを定休日以外毎日、13:30,15:00,16:30,18:00に実施します。参加無料/予約不要。


開催日:

 「Our Sweet Home」&「詩人の部屋」見学可:4月10-13日,19日,20日、7月18-25日、10月11-13日

 「Our Sweet Home」のみ見学可:4月26日,29日、5月3,4日、7月26日、10月4日

 「詩人の部屋」のみ見学可:4月27日、5月5,6日、7月27日、10月5日


参加料金:無料/予約不要


西成周辺の街歩き

芸術祭をきっかけに西成を訪れるなら、アート鑑賞だけでなく、街の魅力もぜひ味わってみてください。


● 新世界・通天閣エリア 

通天閣 写真提供:(公財)大阪観光局
通天閣 写真提供:(公財)大阪観光局

西成のすぐ北側、新世界はレトロな大阪の雰囲気を楽しめるエリア。シンボルである通天閣に登れば、大阪の街を一望できます。名物の串カツ専門店もたくさんあるので、お店をめぐって味の違いを楽しんでみるのも楽しいです。

●  あべのハルカス・天王寺エリア

あべのハルカス 写真提供:(公財)大阪観光局
あべのハルカス 写真提供:(公財)大阪観光局

動物園前駅から歩いて15分ほどのところにあるのが、関西一高いビルあべのハルカス(高さ300メートル)です。展望台から絶景を楽しんだり、あべのハルカス美術館でアートを楽しむのもいいですね。近くには、天王寺公園や歴史ある四天王寺もあり、散策にも最適。



昔ながらの雰囲気が残るディープなスポットから、新しいカルチャーが生まれつつあるエリアまで、歩いてまわるだけでも発見があるはずです!

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